新刊情報 ★★★★パーソン・センタード・ケア実践報告書・第2集

 
 
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代表編集  村田康子・鈴木みずえ・内田達二
定価 2,310円(税込み)
2010年10月 刊
昨年11月発刊の報告書に続く第2集。「認知症ケアマッピング(DCM)」実践の地域における様々な取組みを紹介しています。

( 誰一人として、同じ人はいない )

 


 時々、DCM法の研修会を受講した方の中に、「今困っている人がいるのに、どうケアしたらよいのか直接的な解答にならなかった」という感想を言われる方がいます。
コースでは、確かに、パーソン・センタード・ケアとは何か、どのように認知症を抱えた人たちを理解すべきかなどに関して多くの時間が割かれていますが、どのようにしたらここの現場の問題が解決されるかといったような具体的な方法は学びません。
要するに、核となる考え方や、行動観察を記録したり、現場と話し合う際の基本的な姿勢などは繰り返し学ぶのですが。それを実行に移す際の定型はないのです。
よく言えば、裁量が多いといえますし、悪く言えば、マニュアルがなく、優しくない(易しくない)とも言えるでしょう。
 
この実践報告集は、いろいろな立場の方たちが、それぞれの現場の風土、文化の中でどうやってDCM法を行ったらよいか、悩みながら実践された報告を中心に成り立っています。
「このようなやり方をしたら散々な結果だった」「こんな連絡書式を作ってみた」「まずは自然な話し合いの場を作ることから始めた」、などその現場ごとにいかに皆さんが苦労したかが具体的に書かれています。
それこそ、基本は学んだが、どう現場に合うように使うか、手さぐりで努力させた結果でしょう。
 
世は、マニュアル化ばやりです。「このシートに書き込んでいけば解決する」「このようにすれば、大丈夫」などの誘い文句が並びます。
Each person is special.( 誰一人として、同じ人はいない )とは、パーソン・センタード・ケアの提唱者であるトム・キットウッドの言葉です。これは、認知症を抱えて生きる人に限らないと思います。
 私たちが、働いている環境、そこに来られている認知症を抱えた人たち、仲間、上司などどこも同じところではないでしょうし、ケアに携わっている方たち自体、誰一人同じ人はいません。その意味では、その現場ごとに話し合って作っていくしかないと思います。
 
「すぐ役立つものは、すぐに役立たなくなる」とはよく言われる言葉です。一見役立ちそうな整理されたシート、きれいなパンフレットの類は、多少人目を引くでしょうが、それ以上のことはないでしょう。
基本理念を理解し、ツール使用にあたっての原則を学んだら、後は各自、自分たちの目の前にいる方たち、現場にあった導入を考えていただきたいと思います。
マッパーは、答えを教える人たちではありません。きっかけを作る人たちです。ぜひ、マッパーと一緒にご自身たちの現場にあったケアの文化を育てていただきたいと思います。そして、その時こそ、この諸先輩たちの実践記録が参考になるでしょう。
本書は、DCMを実践、導入するための言わば手引書であり、副読本になるだろうと思います。

                               いまいせ心療センター副院長
                                     認知症センター長
                              DCM日本国ストラテジックリード
                                          水野 裕

目次

◇Each person is special ( 誰一人として、同じ人はいない )...水野 裕

◇はじめに...編集委員会

◇パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング...村田康子

◇グループホームさくらテラスの利用者・家族・職員・管理者・マッパー、みんなで考えていったパーソン・センタード・ケア...丸太隆一、坂本京子

◇全10回のマッピングから見えてきた、認知症高齢者と職員の変化...武井久美子

◇認知症ケアマッピングの発展的評価が認知症の人に及ぼす影響...鈴木みずえ

◇グループホームにおける認知症ケアマッピングの取組みとスタッフの意識変化...鉢谷佐知子

◇認知症ケアマッピングと個別スケジュール表を活用したアプローチ ~パーソン・センタード・ケア実現のために介護主任として取り組んだこと~ ...長谷川英世

◇認知症ケアマッピングの視点を活かした老人福祉施設での取り組み ~作業療法士マッパーとして~ ...中村仁子

◇認知症ケアマッピングを用いたご家族・職員コミュニケーションの工夫 ~思いの共有~ ...永田昌子

◇認知症ケアマッピングとパーソン・センタード・ケアの理念を活かした人材育成と組織作りの効果...関口清貴

◇認知症ケアマッピング(DCM)研修から実践へ ~研修で学ぶこと・自ら学ぶこと~ ...中村裕子

◇地域でともに始めるマッパー交流会の取組み...遠藤真一

◇認知症ケアマッピングを自施設に導入、定着させるために ~特養での取り組み~ ...佐久間尚美

◇認知症ケアマッピングを用いた職員研修 ~外部マッパーとして~ ...内田達二

◇24時間生活変化シートと短時間マッピングを用いたケース検討の試み...伊藤孝子

◇認知症ケアマッピングからスタッフによる施設独自の観察法の取組みへ...江崎妙子

◇心理的ニーズを用いたパーソン・センタード・ケアの取組み ~パーソン・センタード・ケアにおける心理的ニーズをモニタリングに活用して~ ...田邊 薫

◇認知症ケアマッピングの展開 ~実行する仕組みのサポート~ ...桑野康一

◇座談会;認知症ケアマッピング導入の軌跡 ~今後の私たちのめざすDCMとは?~ ...関口清貴、西山淑子、武井久美子、桑野康一

◇資料