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自らが後期高齢者となり現役を引退する老年看護学研究者・中島紀惠子と壮年期を迎える教え子たちとの勉強会。
教え子たちが最後ならばと総力を挙げて恩師に論戦を張る。
テーマは「中島紀惠子が老年看護学に立ち向かったわけ」、「場の考え方と生活の同心円構造」、「認知症のケアスキルと生活健康スケールの開発過程」、「政策に与えたインパクト」、「老年看護学の未来」と続き、勉強会は5回に及んだ。本書はこの勉強会での中島紀惠子の語りを中心に再構成したものである。
本書を通して語られる中島紀惠子の歩み、状況を捉えるまなざし、研究哲学、そして価値観は、老年看護・介護の実践現場にいる人々はもちろん、これから研究を志す学生・院生に、「考える」ための多くのヒントを教示している。
目次
序
中島紀恵子先生の活動史・・・山田律子
1960年代/1970年代/1980年代/1990年代/2000年代以降
第1講 老年看護への思索
老年看護の原理をさがし求めて/私の自立論/自立から身体技法へ/「生活の場」における同心円構造
第2講 場の理論と対象の見方
援助の場/老人の日常生活の復権/理論との出会いまで/それぞれの場で老年看護を拓く/老年看護を志して「認知症の人と家族の会」とのかかわり/活動理論はどこから
第3講 認知症ケアのストラテジー
ケアリング/認知症の人のケアリング/認知症ケアの四つの課題とそのストラテジーに関与する技法/生活健康スケールの開発/談論風発-現場から離れず、研究からも離れず
第4講 中島先生の傍らにいた25年を振り返る・・・北川公子
論文「在宅痴呆性老人のステージとその介入方法およびシステム開発に関する研究」
(1985年)/書籍「生活の場から看護を考える」-考えるということを学ぶ(1994年)/実践研究「グループホーム」-私の臨床をもつ/番外-「師」をもつしあわせ
別 講 中島先生の活動を施策モデルを基に振り替える・・・工藤禎子
教育、研究、実践家として、その根底にあるもの/中島先生の活動をバーバラの政策モデルから振り返る