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 SeisinkaOngakuryoho精神科の人々と初めてかかわりをもったのは,音楽療法という分野の学問があると知って,ひと月目くらいの時でした。現日本音楽療法学会理事長の村井靖児先生のセッションでした。そこで初めて,精神病院というところに足を踏み入れました。

その時は自分には到底無理な分野であると思い,4人の子どもの母親という立場から,音楽療法のスタートとして取り組んだのは児童分野でした。

その後,松井紀和先生にご指導頂き米国音楽療法視察団に参加,メニンガーという世界的な精神科治療の研究団体の視察に加わり,有名な病院の米国の患者様の様子を見学しました。1985年のことです。そこにはお金を十分にかけた,薬物を使用しない治療の方法がたくさんありました。患者様は幸せそうだと思いました。



あれから,縁あって木更津病院,南房州の三好病院を経て精神科の音楽療法に関わりを持つことになりました。

現在,多くの患者様と一緒に音楽をし,変化を体験し,改めて音楽療法の果たせる役割を鑑み,ぜひ多くの方々に精神科の音楽療法を体験してほしいと思いこの本の出版の想いに至りました。技法のところでは,竹内和美,山本名映子と笠嶋道子の3人で行っているセッションについて,各病棟で役割を交互に勤めながら進めている都合上,執筆を連名としました。また,個人的な様子を書いた「こんなことあんな人」の欄は執筆者の名前を明記しました。読んでくださる方々が,精神科の患者様の様々な健康な部分の認識をもって下さり,同じ人として理解あるいは共感を持っていただければ幸いです。

多くの患者様,また病院関係者の方々に感謝を申し上げるとともに,私たちに多くのご指導をくださった昨年ご逝去なさった精神科医吉川武彦先生が,天国でこの本を読んでくださいますよう心から祈念しております。有難うございました。

「まえがき」より                笠嶋道子/2016年7月1日 千葉県君津市に於いて


《目次》

1.精神科音楽療法について
・各分野の音楽療法的視点・目的
・精神科音楽療法の特徴
・実際の活動としては
・松井紀和による治療道具としての音楽の特性
・セッションを行うにあたり注意すべきこと

2.精神科音楽療法の技法
・セッションを始める前に
・精神科音楽療法のプログラム
・重度閉鎖病棟(陽性症状)
・重度慢性閉鎖病棟(陰性症状)
・慢性リハビリ閉鎖病棟
・リハビリ開放病棟
・療養開放病棟
・デイケア(DC)
・院内コンサート
・グーチョキパーを使用した活動
・病棟リクエストベスト10
・身体活動について:
        コロッケ体操
        オブ・ラ・ディ,オブ・ラ・ダ

3.こんなことあんな人
・患者さん七不思議
・ジャンケンポンは苦手です
・ここにいます笑顔さん
・歌が好きなんです
・司会もします
・美和さんのお話
・詩人
・キーボード弾かせて下さい
・リクエストはね...
・鬱でした

4.家族の憂い
・不登校から精神病になった息子
・娘と私と音楽療法

資料
・統合失調症患者のリズムについての研究
・統合失調症患者のリズム障害に関する一研究
・精神科病院における身体活動について

定価 本体 2200円+税  ISBN978-4-904363-57―7 C3047

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