2022 年4月1日より保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部が改正され、看護師に求められる社会的役割、及び疾病構造の変化に伴う療養生活の場の多様性に対応できるように統合分野であった「在宅看護論」は、「地域・在宅看護論」に名称変更し専門科目として位置づけられました。
今回の改訂では、安心した在宅療養の開始と継続支援による切れ目ないケアの提供、健康の維持・回復や望む最期を実現するための地域包括ケアシステムの構築や地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の中で看護師は多様な場で、多職種・多機関と連携・協働し、その役割と機能を果たしていくことが求められるため、「第2章 在宅看護と地域包括ケアシステム」に詳述しました。また、地域を個人や家族の背景または資源として捉え、人々の生活の場における療養者や家族への看護を中心に展開し、特に在宅療養者の日常生活を支える看護として「第5章 在宅看護と在宅療養者の日常生活」、様々な病期の在宅療養を支える看護として「第6章 在宅療養者の病期に対応する看護」を追加しました。
住み慣れた地域で最後までその人が望む生活ができるような包括的な支援やサービスにおいて大きな役割を担う看護について、読者の皆様の忌憚のないご意見をいただき、より充実した内容を目指したいと考えます。
「はじめに」より
《目次》
第1章在宅看護の対象と考え方
Ⅰ在宅看護の対象と背景
Ⅱ在宅療養を支援する仕組み
Ⅲ在宅看護における権利の保障
Ⅳ在宅療養者の自立・自律支援
Ⅴ在宅における病状・病態の経過の予測と予防
Ⅵ生活の場に応じた看護の特徴と看護の役割
Ⅶ在宅療養者の家族への看護
第2章在宅看護と地域包括ケアシステム
1地域包括ケアシステムとは
2地域共生社会と地域包括ケアシステム
3地域包括ケアシステムと「自助・互助・共助・公助」
4地域包括支援センターについて
5地域包括ケアシステムにおける多職種連携
第3章在宅看護におけるケアマネジメント
1ケアマネジメントの概念
2介護保険制度における居宅サービスのケアマネジメント
3障がい者・医療的ケア児のケアマネジメント
4ICF(国際生活機能分類)の概念とアセスメント
5社会資源の活用
第4章在宅看護における訪問看護
Ⅰ訪問看護の理解
1訪問看護とは
2訪問看護の提供方法と種類
Ⅱ訪問看護制度の法的枠組み
1介護保険制度
2医療保険制度
3高齢者の医療を確保する法律
4障害者総合支援法
5難病法
6生活保護法
7利用者の権利擁護に関する制度
8その他の福祉サービス
9訪問看護制度の課題とその解決にむけて
Ⅲ訪問看護サービスの仕組みと提供
1訪問看護ステーションの開設基準
2訪問看護サービス開始までの流れ
3訪問看護サービスの展開
4機能強化型訪問看護ステーション
5訪問看護サービスの管理・運営・質保障
6ある訪問看護師の一日
第5章在宅看護と在宅療養者の日常生活
Ⅰ食事と栄養
1在宅療養者の食生活の特徴
2食事摂取能力・栄養状態のアセスメント
3食事・栄養に関する看護
Ⅱ排泄
1生活における排泄と援助
2在宅における排泄ケアの実際
Ⅲ清潔
1入浴
2足浴・手浴
Ⅳ呼吸・循環
1呼吸・循環状態に影響を及ぼす疾患・状態
2アセスメント
3ケアーセルフマネジメントー
第6章在宅療養者の病期に対応する看護
Ⅰ回復期(リハビリテーション期)
1在宅リハビリテーションの概要
2在宅リハビリテーションにおけるアセスメント
3リハビリテーションを受ける療養者への訪問看護の実際
4リハビリテーション時の合併症の予防と対応
5居住環境のアセスメントと対応・調整
6在宅リハビリテーションにおける訪問看護師と多職種との連携・協働
Ⅱ慢性期にある療養者
1在宅療養者を取り巻く環境
2慢性期の在宅療養者の特徴
3在宅療養生活継続するためのもてる力を高める支援
4慢性期にある在宅療養者の急性増悪の早期発見と対応
5慢性期の在宅療養者の家族支援
6社会資源の活用と調整
Ⅲ緩和ケア期にある療養者
1緩和ケア,ターミナル,終末期,エンド・オブ・ライフ,ホスピス
2多職種連携による退院支援
3死の準備教育
4グリーフケア
第7章在宅療養者と在宅看護過程
Ⅰ在宅看護過程の基本
1在宅看護過程の概念
2在宅看護過程のアセスメント
3アセスメントから統合
4看護計画
5実施・評価
6訪問時の行動計画
Ⅱ在宅看護過程の展開
1基礎的データ
2アセスメント
3統合
4看護計画
第8章在宅療養者の特徴ある疾病の看護
Ⅰ在宅で療養する子どもへの支援
1在宅で療養する子どもを取り巻く現状
2社会資源
3在宅への移行支援
4看護の実際
5在宅で療養する子どもの災害時の備え
Ⅱ認知症を理解するために
1認知症を取り巻く状況
2認知症を引き起こす主な疾患
3認知症の診断
4認知症の症状
5認知症の治療
6認知症高齢者・家族への看護
7認知症高齢者および家族を支援するための社会資源と制度
Ⅲ認知症ケア
1認知症ケアの基本
2ケアの理論やケアの方法が導く認知症の人への接し方
3認知症の人に対するアセスメントの視点
4認知症の種類別のケアの視点
5認知症の人に対するリスクマネジメント
6認知症の人の家族の受容過程と介護力アセスメント
7認知症の人が在宅生活を維持するための環境整備
8認知症の人の事例
Ⅳ精神疾患がある在宅療養者への看護
1精神疾患とは
2精神科訪問看護の基本的な考え方
3精神科訪問看護のプロセス
4精神科訪問看護の具体的なケア
5家族支援
Ⅴ難病がある在宅療養者への看護
1難病とは
2指定難病
3障害者総合支援法の対象となる疾病
4事例パーキンソン病
5パーキンソン病の看護ポイント
6筋萎縮性側索硬化症
7重症筋無力症
8脊髄小脳変性症
9多発性硬化症
第9章在宅における医療管理を必要とする人の看護
Ⅰ薬物療法
1在宅の服薬管理の基礎知識
2在宅の服薬管理の実際
3在宅での看護のポイント
Ⅱ在宅における化学・放射線療法
1化学療法
2放射線療法
Ⅲ在宅酸素療法
1在宅酸素療法の基礎知識
2在宅酸素療法を受ける療養者への看護
Ⅳ在宅人工呼吸療法
1在宅人工呼吸療法についての基礎知識 NPPV IPPV
2看護の実際
Ⅴ膀胱留置カテーテル法
1膀胱留置カテーテルの基礎知識
2カテーテル留置の実際と看護のポイント
3在宅におけるケアのポイント
4緊急時の対応
Ⅵ在宅経管栄養法
1在宅経管栄養法についての基礎知識
2在宅経管栄養法の適応
3在宅経管栄養法の実際
4在宅での看護のポイント
Ⅶ在宅中心静脈栄養法
1在宅中心静脈栄養法の基礎知識
2在宅中心静脈栄養法の実際
3在宅での看護のポイント
Ⅷ在宅自己腹膜還流 CAPD
1在宅自己腹膜還流の基礎知識
2CAPDの実際
3在宅での看護のポイント
Ⅸ吸引
1吸引の基礎知識
2吸引の実施と管理
Ⅹ褥瘡予防とケア
1褥瘡ケアの基礎知識
2褥瘡発生の危険性のアセスメント
3全身のアセスメントと予防ケア計画
4褥瘡予防のためのケア
5褥瘡の治癒促進のためのケア
6介護保険サービスによる褥瘡予防に役立つ福祉用具
第10章在宅療養の移行に伴う看護 看看連携
1退院支援看護師の役割
2退院支援看護師の具体的な看護内容
退院支援・退院調整/地域連携パス
第11章在宅看護の安全と管理
Ⅰ日常生活における安全管理
1家庭環境の整備
2転倒予防
3誤嚥・窒息
Ⅱ感染予防(感染管理)
1在宅における感染予防対策
2在宅看護における感染症
結核/コロナ禍における対応
Ⅲ災害時における在宅療養者と家族
1災害に関する基礎的理解
2災害時における在宅療養者と家族
防災対策/医療上の健康危機管理/生活上の健康危機管理
《執筆者》(五十音順)
青柳 道子 札幌医科大学准教授
和泉 比佐子 神戸大学教授
上田 泉 札幌医科大学教授
長内 さゆり 天使大学准教授
蔭山 正子 大阪大学教授
北村 眞弓 日本福祉大学教授
酒井 康江 福岡女学院看護大学准教授
佐々木雅彦 訪問看護ステーション風鈴管理者
鈴木 みずえ 浜松医科大学教授
高見 千恵 兵庫大学教授
田中 貴子 聖マリア学院大学助教
鳥本 靖子 浜松医科大学准教授
長井 栄子 帝京平成大学准教授
波川 京子 大阪歯科大学客員教授
難波 貴代 川﨑市立看護大学教授
西村 直子 大手前大学教授
野元 由美 産業医科大学講師
深川 周平 札幌医科大学助教
眞﨑 直子 聖マリア学院大学教授
松原 三智子 北海道科学大学教授
三徳 和子 前兵庫大学教授
村川 奨 札幌医科大学助手
森戸 雅子 川崎医療福祉大学教授
以上
定価 本体価格 3,200円
ISBN978-4-911097-00-7
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