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共著 佐藤弘美
    佐藤 理
定価 2,520円(税込み)
2008年11月 刊
佐藤弘美の遺稿集を中心に、夫・理が研究仲間の協力を得て弘美が目指した善き介護と介護についてまとめた。

 

 

 

この本は、平成20年1月に45歳の若さで急逝された佐藤弘美先生の研究・教育の業績の中から、多くの方々に読んでいただきたいと思ったものを集め、構成し直したものです。
佐藤先生は乳がんを患い8年にわたり闘病されましたが、全く表に出さずに亡くなる直前まで石川県立看護大学の教授として働いてこられました。
佐藤先生は看護・看護教育の仕事に常に前向きで、患者さんやご家族のために、また、看護学生、大学院生のために、心を尽くした「ケア」を提供していました。
天性の「ケア心」「ケアの技」をもった人でもありました。亡くなったことはたいへん残念でなりません。なんとか彼女の看護を後世に残し受け継ぎたいと考えました。

時間さえあれば佐藤先生自身が書き表したかったことだろうと思います。そこで、元同僚であり、研究や様々な仕事を共に行ってきた酒井・湯浅が発起人となり、夫である佐藤理さんの許可とご協力、そして石川県立看護大学、千葉大学など関係者の方々のご協力を得てこの本が出来上がりました。

第1章は、佐藤先生の修士論文であるALS患者さんとご家族が闘病の中で築き上げてきたものについて、第2章は佐藤先生が取り組んできた高齢者看護の教育方法について、湯浅が編集を担当してまとめました。第3章は、石川県立看護大学での看護実践研究である、認知症をもつ人への回想法の実際とその効果について、第4章は、軽度認知障害をもつ高齢者への地域での学習の場づくりという取り組みに関して、一緒に研究を行ってきた酒井が編集を担当してまとめました。

佐藤先生がケアを提供しつつ患者さんやご家族から学んできたことや工夫を重ねてきた教育実践から、私たちは多くのことを学ぶことができると思います。
石川県立看護大学の大学院生、修了生の方々や石川県ALS協会の方に書いていただいた文章から、佐藤先生の看護や教育の成果をみることができると思います。

第5章は夫である佐藤理さんからみた佐藤先生の生活と闘病について書いていただきました。他人には見せることのなかった一人の「がん患者」の生き様には、看護でできることがもっとあるでしょうと、私たちに課題を出しているようにも感じます。
第6章は佐藤先生の研究業績のリストをあげました。これ以外にも公開講座や研修会の講師、学会活動など多くの事業、社会貢献活動に関わっていることを付け加えておきたいと思います。
この本は、単なる遺稿集、思い出の書ではなく、佐藤先生の求めた看護を文章として残し、それが多くの看護職・看護教育職の方々の学びになることを目指しました。

そのときに、彼女にとってあまりに当たり前であった「看護」「ケア」(教育も含めて)の道をどのように表現すればよいのだろう、と悩んだ末に浮かんだのが「善き」という言葉です。
真っ当な道を進もうとする彼女は、そう簡単にはいかない現状に対して怒ってもいました。
そんな彼女の「善き看護」のスピリットを皆さんに感じてもらいたいと思います。
                               
                                   (湯浅美千代「まえがき」より)


目次

第1章 ALS患者・家族とともにつくりあげるケア

◇呼吸器を装着して在宅療養するALS患者と家族が療養の過程で築きあげたもの
◇ALSという病と向き合うご本人と家族と看護師としての私
◇石川県のALS支援ネットワークづくりにむけて

第2章 高齢者看護教育においてたいせつにしてきたこと

◇INTO AGINGの開発と展開
◇石川県立看護大学における老年看護学教育

第3章 認知症高齢者への回想法 楽しみに満ちた場をつくる

◇長期ケア施設における認知症高齢者へのグループ回想法の実際と効果

第4章 高齢者が集い学びあう場づくりの理論化を目指して

◇軽度認知機能障害高齢者の学びの場で創りだされるもの

第5章 痛みの軌跡:がんをもつ人として生き抜く

第6章 佐藤弘美 業績一覧

 

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