新刊情報 ★★★★『国際看護学』

kokusaikangogaku この本のタイトルは『国際看護学』であるが,この本を手にした人は,今まで出版されている『国際看護学』の本とはいささか内容が異なると感じられるに違いない。
 それは,この本は,8名の執筆者全員が,中央アフリカ共和国に数週間から数十年滞在して,その地で体験したこと,調査したことを基に実体験を書いたからである。執筆者の職業は,社会学者,医師,保健師,助産師,看護師であり,それぞれが専門とする分野に焦点を当てて,調査研究したこと経験したことを記述している。
第Ⅲ部「国際看護学の理解を深めるために」を執筆した内海氏は社会学者で,島国日本から海を隔てる海外諸国の「遠さ」について述べている。グローバル化により世界の情報は机上で簡単に入手することができ,また物理的な距離もハイテクノロジーによるスピードアップや交通網の発達により短縮され便利になった。しかし,日本人にとって海外は,今なお心の距離は短縮されていないように思う。(以下「詳細」からご覧ください)


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 この本は,執筆者全員が,現地の人々と関わり,彼らの思いに耳を傾け彼らの思いを丁寧に書き留めているので,彼らの生き方や人生観までも垣間見ることができ,彼らに親近感を持ってもらえるのではないかと思う。このことが,彼らを理解し,途上国への心の距離を少しでも縮めることに役立つのではないかという思いが,この本が生まれるきっかけとなった。

 執筆者たちのフィールドとなったのは,中央アフリカ共和国であるが,アジアや中南米など国は異なっても,途上国といわれる諸国は,保健衛生の問題や生活習慣が独自の文化や風習に根差しているという点では類似しており,これから途上国で国際協力をしたいと希望している看護学生,看護師にとっては,途上国を理解しやすい内容になっており,途上国での看護活動に飛び立つ勇気を与えてくれる本であると思う。

 アフリカには「アフリカの水を一度飲んだ者は,アフリカに舞い戻る」という諺がある。この諺は,アフリカに一度踏み込んだ者は,アフリカの人の人間的魅力にとりつかれ再びアフリカに戻ってくるという意味であるが,アフリカのみならず,海外で看護活動を行うことは,どこの国で活動しても同じことが言えると思う。それは,看護は人間と人間の心の触れ合いなしではできないからである。
この本が,途上国での活動を希望している看護職の方々に希望を与えてくれる本となれば幸いです。

「はじめに」より
                                                                                2014年1月
                                                                                徳永瑞子

 
目次

はじめに

第Ⅰ部 国際看護学を学ぶにあたって

第1章 国際看護学

1.国際看護学を学ぶにあたって
2.中央アフリカ共和国の医療事情
3.中央アフリカ共和国の看護師・助産師教育
4.患者の看護は誰が行っているのか

第2章 異文化を容認する

1.食文化
2.言語文化
3.伝統医療
4.結婚
5.死者の弔い

第3章 貧困について

1.貧困とは何か
2.貧困とは,人権を奪われること
3.教育について
4.児童労働について

第4章 母子保健

1.高い出生率と高い妊産婦死亡率
2.高い5歳未満児の死亡率
3.母乳育児

 

第Ⅱ部 国際看護学の現場での出会い

第5章 学生による国際協力

 

1.スリランカ津波被災
2.中央アフリカ共和国
3.3か月里親プロジェクト
4.長崎
5.3か月里親プロジェクトスタート
6.その後
7.おわりに

第6章 地域の人々が認識する健康観と保健対処行動

1.
国際看護への興味
2.健康観に着目した理由
3.地域住民の健康観と保健対処行動の調査
4.海外での体験から学んだこと
5.おわりに

 

第7章 古くて新しい感染症 ─結核─

1.結核への関心
2.世界の結核の動向
3.アフリカにおける結核問題

 

第8章 HIV陽性者たちの語り─AIDSだけどみんなと変わらない─

1.HIV/AIDSとの出会い
2・日本でHIV/AIDSの患者の看護を通して
3.HIV陽性者のHIV陽性に対しての認識と和解についての調査
4.おわりに

第9章 母ちゃん,神様,ガマン─10代妊婦へのインタビューから─

1.10代の妊娠問題
2.10代女性の妊娠・出産への関心
3.10代女性のインタビュー
4.私にとっての柔軟性のレッスン─インタビューから得たもの─
5.おわりに

 

第10章 親を亡くした子どもたち─エイズ孤児たちの心の風景─

1.エイズ孤児たちとの出会い
2.聞き取り調査方法と内容
3.聞き取り調査の結果
4.それぞれのエイズ孤児たちの今
5.おわりに

第11章 ガンジャと「部族の誇り」

1.
女性性器切除を知る
2.聞きとり調査(2007年から2008年)
3.聞きとり調査(2011年から2012年)
4.聞き取り調査のまとめ
5.女性性器切除をめぐるさまざまな動き
6.男性の割礼(Circumcision)について
7.映画「母たちの村」
8.女性性器切除の医療化
9.ネットからの記事

 

第Ⅲ部 国際看護学の理解を深めるために

第12章 近くはない,でもそう遠くでもない─専門家と非専門家のための柔軟性のレッスン─

1.
「遠さ」の問題
2.遠さを生みだす要因:距離・情報・時空間像
3.〝Development″論の戦後史
4.時空間像の変化と変化の学習

 


おわりにかえて
索引



編集

徳永瑞子 助産師 NGOアフリカ友の会
内海博文 社会学者 追手門学院大学社会学部社会学科

執筆
(執筆順)

徳永瑞子 助産師 NGOアフリカ友の会
千早啓介 医師  聖マリアンヌ医科大学放射線医学教室
岡部紀代子 看護師 元NPO法人訪問看護ステーションコスモス
西浜佳子 看護師 横浜中央看護専門学校
高塚綾子 看護師 東京慈恵会医科大学医学部看護学科
加藤章子 助産師 東京医療保健大学東が丘看護学部
河野小夜子 助産師 元聖母病院
内海博文 社会学者 追手門学院大学社会学部社会学科


価格 2500円(本体)+税

ISBN 978-4-904363-40-9 C3047 ¥2500E


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